スーパー給食レポート
Vol.15 東京都足立区梅島小学校
- 2009.6.25
- 東京都足立区梅島小学校で、スーパー給食15を行いました。
イタリア料理で「今後の財産になるようなメニューを!」
この度15回目を迎えた「スーパー給食」は、全国でも初めての試みとして行政である足立区が、「おいしい給食」の取り組みの一つで実施することになった。そして、足立区のおいしい給食モデル校である梅島小学校が選ばれ、「子どもたちに美味しいイタリア料理を!」と、「日本のイタメシ」ブームの生みの親、片岡護シェフが訪れた。
「足立区学校給食の今後の財産になるようなメニューを考案してほしい」との依頼を受け、片岡シェフが考えだしたメニューが、「アマトリチャーナ」「キャベツとホタテのサラダ」「チェンチ」。今まで足立区の学校では出したことのない、新しいレシピだ。
冷めても美味しいメニューに
アマトリチャーナは通常スパゲティーニで作ることが多いのだが、「時間が経って冷めてしまっても美味しく食べられるように・・・」という片岡シェフの思いからペンネを使用した。
オリーブオイルで最初ににんにくをじっくり炒め、香ばしい香りと旨みをしっかり出す。そしてベーコンもじっくり炒めた後、たっぷりの玉ねぎとたっぷりのトマトでソースを作った。
ペンネはできるだけ伸びないようにと時間ギリギリに茹で、最後にソースを絡める。
キャベツとホタテのサラダは、この他に人参・アスパラ(北海道産のとても立派なアスパラ)・煎りごまが入っている。このサラダのドレッシングがまたスペシャル!
オリーブオイルを少量のにんにくと赤唐辛子で香り付けし、アンチョビ・ケッパー・ツナ・バルサミコ酢を入れレモン汁・塩・こしょうで調味する。アンチョビ・ケッパー・バルサミコは、学校給食で今まで使ったことがなく、栄養士の先生も子どもたちが食べてくれるか少し心配そうにしていたが、子どもたちの反応を大いに期待。
チェンチはトスカーナの伝統的な揚げ菓子。カーニバルやお祭りの時によく食べるのだそう。今回はチェンチの生地に、レモンとデコポンの皮を摩り下ろして混ぜ込んだ。
シェフオリジナルの調理法。栄養士の先生の勉強会にも
7時半から栄養士の先生と、調理員のチーフと最終打ち合わせを行い、すぐに給食室に入り調理を始める片岡シェフ。「最後に慌てると大変だから、どんどん始めていかないと!」と気合も充分。
8時半になり、シェフは朝の全校集会に向かった。
校長先生から紹介を受け壇上に上り、「いつもの給食もおいしいと思うけど、今日は特別なイタリア料理を作ります!一生懸命作るので、みんな楽しみにしていてください。」とあいさつをした。
そして、給食室に戻ったシェフはすぐさま調理に取り掛かる。
アマトリチャーナのソースをじっくり作りながら、サラダのドレッシング作りを始める。何度も味を確認しながら調味料を調整。味が決まると、シェフから good!のサインが出た。続いて味のチェックを行った栄養士の先生、調理員の方から「あ、おいしい!!」という声が。このドレッシングはとにかく魚介類に合うそうで、マリネなどのソースにしても美味しいとのこと。初めての味のサラダになるが、子どもたちにも受け入れてくれるだろうか。
次に、4人がかりで時間を掛けてしっかり練り込み1時間程寝かせたチェンチの生地を、1mm幅に伸ばしパイカッターで切っていく。シェフの横でちょっと緊張気味な調理員さん。慎重に生地を切っていく姿を見て、「イタリア料理は適当でいいんだよ!パッパパッパこんな感じ!」と手本を見せ、「料理はスピードが勝負!」と伝えた。
最後に4つの大釜を使ってペンネを茹でる。茹で汁は水の量に対しておよそ1%の塩を加える。塩分を濃くすることにより、麺にコシを保たせ伸びを抑える。そして麺に塩気がある為、その分ソースを塩分控えめにできる。ペンネをアルデンテに茹で、ソースと少量の茹で汁を加えた。
途中から見学に来た足立区立の他校の栄養士の先生方から、始めて見る工程にどよめきが。最後には味見をし、シェフに少し質問。「なるほど~」と、今後の参考にもして頂けたようだ。
初めての味は大好評!子どもたちのおかわりの列が
調理を終えランチタイム。片岡シェフは4年2組の子どもたちと一緒にランチルームで会食した。シェフを目の前にして少し緊張気味だった子どもたちも、「いただきます!」をして口に入れてみると・・・
「おいしい~!」みんなから笑顔がこぼれた。
「ペンネを初めて食べたけど、すごくおいしい!」「サラダ、さっぱりしていておいしい!」「チェンチ甘くておいしい!」次々とうれしい言葉が飛び交う。早くもペンネにおかわりの列が。最後に並んだ2人は、4、5本のペンネを仲良く別け、微笑ましい光景も見ることができた。ペンネの食缶が空になると次はサラダに列が。おかわりを3回した子もいた様で、あっという間に全て空になった。
子どもたちにとって初めての料理でも、シェフの考案したメニューは大好評だった。
おいしい楽しい給食の時間が終わり、教育長があいさつをした。「今日の給食おいしかた人?」「ハーイッ!」全員の手が挙がった。最後にシェフから・・・「野菜はどうやって作られるのかな?どんな人が作ってくれているのかな?と考えながら、好き嫌いしないでまず食べてみよう!今日一緒に給食を作って、調理員の方たちの熱い気持ちが伝わった。これからも、作ってくれる人への感謝の気持ちを忘れずに食べてください。」と子どもたちに熱い思いを伝えた。
夢を与えた交流会
5時間目に、5、6年生と交流会を行った。今回は“「食」を考える”“シェフの生き方を学ぶ”とテーマを掲げ、授業の一環として行われた。
まず、イタリア料理の特徴や、なぜイタリア料理のシェフになったのか等を子供たちに話した。「最初はデザイナーになるのが夢でした。しかし色々なことがあって、夢が料理人に変わった。筆を包丁に換え、“皿の上にデザインしよう”と。パスタの一番美味しい店を作りたい、と思った。」イタリアで修業していた時の事なども、詳しく教えた。
そして、子どもたちからのたくさんの質問に答えた。
「日本の食材でイタリア料理は作れますか?」「例えば、バジルを大葉に変えてソースを作ったり・・・日本に限らず、中国でも韓国の食材でも作れます。イタリア料理はオールマイティーな料理なんだよ。」
「料理を作る上で大切なことは?」「まず、自分が健康であること。それから、人の為に美味しいものを作るという愛情!」
最後に、「みんな、将来は好きな仕事に就くといいよ。自分が何をしたいかを考えながらいると、将来が楽しみになります。好きなことを諦めずずっと続けること、そして人以上に努力をすることが大切です。」とメッセージを残し、子どもたちに夢や希望を与えた。
質問の時間が終わるとシェフに花束が贈られ、皆と握手をして学校を後にした。
今日の給食、交流会は、きっと子どもたちの心に刻まれたことだろう。食を通して様々なことが学べると、改めて実感することができた。
- 東京都足立区梅島小学校 (http://www.adachi.ne.jp/users/adaume/)
- 121周年の良き伝統を継承・発展させる為に、「すすんで学習する子ども」「仲良く助け合う子ども」「礼儀正しい子ども」「元気でじょうぶな子ども」を教育目標に掲げている。また、足立区教員研修推進校・おいしい給食モデル校の実践も行っている。